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2012 年度 実績報告書

ショウジョウバエを用いた左右対称性を破る新規な機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J07621
研究機関東京理科大学

研究代表者

中澤 直高  東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード左右非対称性 / ショウジョウバエ
研究概要

これまでに共同研究者らによって、消化管の一部である後腸が左右非対称な形態に発生する際、捻転前に観察される上皮細胞の形状の歪んだ性質が重要な働きをしていることが示唆されています(Taniguchi et al., Science, 2011)。私は、この過程において、上皮細胞の形状変化が生み出す「機械的な力」が重要な働きをしているのではないかと考えました。さらに、この「機械的な力」を定量化することにより、後腸が左右非対称な形態に発生する過程において重要な知見が得られると考えました。そこで、後腸が左右非対称な形態に発生する際に必要な「機械的な力」を定量化するために、以下の2つの実験を遂行しました。
(1)後腸の培養実験
まず、後腸自身が捻転に必要な「機械的な力」を生み出しているのかどうかを確かめるために、胚より単離した後腸の培養実験を行いました。その結果、胚より単離した後腸は培養液中において、生体内と同様に捻転することが明らかとなりました。このことより、後腸自身が捻転に必要な「機械的な力」を生み出していることが示唆されました。
(2)磁性ビーズを用いた後腸が左右非対称な形態になる際に必要な「機械的な力」の定量化
後腸の培養実験から、後腸自身が生み出す「機械的な力」が捻転に必要であることが示唆されました。この結果より、外部より加えた力により私は後腸の捻転を止め、そのとき加えた力を定量化することで、後腸自身が生み出す「機械的な力」を見積もることが可能なのではないかと考えました。そこで、外部からの力として磁力を用いて、後腸の捻転を止める実験を行い、さらに、そのとき加えた磁力を定量化しました。その結果、後腸の捻転に必要な力は、約6nNであることが明らかとなりました。
以上の2つの実験により、後腸が左右非対称な形態に発生する際、後腸自身により生み出される約6nNの「機械的な」力が必要であることが示唆されました。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Reduced cell number in the hindgut epithelium disrupts hindgut left-right asymmetry in a mutant of pebble, encording a RhoGEF, in Drosophila embryos2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsutoshi Nakamura, Kenjiroo Matsumoto, Yuta Iwamoto, Takeshi Muguruma, Naotaka Nakazawa, Ryo Hatori, Kiichiro Taniguchi, Reo Maeda, and Kenji Matsuno
    • 雑誌名

      Mechanisms of Development

      巻: 130 ページ: 169-180

    • DOI

      10.1016/j.mod.2012.09.007

    • 査読あり
  • [学会発表] Quantification of mechanical force driving the left-right asymmetric morphogenesis of epithelia in Drosophiia2012

    • 著者名/発表者名
      Naotaka Nakazawa, Reo Maeda, Shukei Sugita, Takeo Matsumoto and Kenji Matsuno
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場、マリンメッセ福岡
    • 年月日
      20121212-20121214
  • [学会発表] Quantification of mechanical force driving the left-right asymmetric morphogenesis of epithelia in Drosophila2012

    • 著者名/発表者名
      Naotaka Nakazawa, Reo Maeda, Shukei Sugita, Takeo Matsumoto and Kenji Matsuno
    • 学会等名
      第10回日本ショウジョウバエ研究会
    • 発表場所
      東京慈恵医科大学
    • 年月日
      20121013-20121015
  • [学会発表] Quantification of mechanical force driving the left-right asymmetric morphogenesis of epithelia in Drosophila2012

    • 著者名/発表者名
      Naotaka Nakazawa, Reo Maeda, Shukei Sugita, Takeo Matsumoto and Kenji Matsuno
    • 学会等名
      The 2nd Annual Meeting for Whole-Organism Science Society
    • 発表場所
      SPring8
    • 年月日
      20120928-20120929
  • [学会発表] 細胞の左右非対称な歪みが生み出す「力」による器官形態の新しい形成機構2012

    • 著者名/発表者名
      中澤直高, 松野健治
    • 学会等名
      第1回 多細胞動態研究のためのブレインストーミングワークショップ
    • 発表場所
      理化学研究所
    • 年月日
      2012-06-26

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公開日: 2014-07-16  

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