研究概要 |
(1)LMIR3ノックアウトマウスの解析 #1:CLP(cecal ligation and puncture)敗血症性腹膜炎モデル LMIR3はミエロイド系細胞に発現しており,自然免疫に関与している可能性があるためCLPを行った.CLPにおいてLMIR3ノックアウトマウスは顕著な生存率の改善を認めた.CLPにおいて,LMIR3ノックアウトマウスは虚血に陥った虫垂局所の壊死の程度が軽く,また,早期に多くの好中球が腹腔や虫垂局所に遊走し,高い殺菌能を示す.それに伴い炎症が早期に改善し,生存率が上昇すると考えられる.現在好中球の遊走亢進の原因を明らかにしつつある. #2:アレルギーモデル(passive cuteneous/systemic anaphylaxis) マスト細胞において抑制型レセプターであるLMIR3とFcεRIを共架橋するとFcεRIのシグナルを抑制する[Izawa et al. Journal of Immunology 2009, 183:925-936]. LMIR3がアレルギーの発症や増悪に関与している可能性があると考えられ,IgE(antiDNP-BSA)を皮下または静脈注射をした後,抗原(DNP-BSA)を投与する実験を行った.LMIR3ノックアウトマウスにおいてはこのanaphylaxy反応が亢進していた.生理的意義を明らかにするため、その他,喘息モデル・アトピー性皮膚炎モデル・自己免疫疾患モデルも現在検討中である. (2)LMIR3リガンドの探索, 現在、LMIR3の細胞外ドメインにhumanのFc部分をつけたキメラ蛋白を作成し、プローブとしてリガンドを捜すと同時に、レポーター細胞を用いた探索も行っている.
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