1.液晶性化合物/シリカハイブリッド薄膜の配向挙動の詳細解析 これまで、リオトロピック液晶性を示すトリフェニレン誘導体とシリカからなるハイブリッド薄膜において、基板-分子間の相互作用にて液晶が垂直配向することを見出していた。今回、この液晶の垂直配向に関して、様々な反応条件(温度・時間)ならびに様々な基板(濡れ性・表面形状・素材)を用いてメカニズム解析を行った。その結果、垂直配向の達成のためには、従来知見の基板と分子間の相互作用だけではなく、排除体積効果も必要であることが新たに明らかとなった。今後は、この新たな知見をもとに、ユニバーサルな基板上でも垂直配向を達成できるような材料プロセッシングを発見していく予定である。 2.両親媒性円盤状分子の新規水面膜とその応用 新規両親媒性円盤状分子の合成手法を確立し、この分子からなる水面膜が安定なアメンボ状のコンフォメーションを形成することを見出した。また、この水面膜を転写した汎用基板上に上述のハイブリッド薄膜を調製したところ、従来は特異基板上でのみ得られていた液晶の垂直配向が、ユニバーサルな汎用基板上でも得られる兆候を得た。液晶の垂直配向構造を鋳型としたハイブリッド薄膜がユニバーサルな基板上にて得られれば、太陽電池・燃料電池・選択分離膜のような用途に向けた新たな材料プロセッシングの提案が可能と考えており、今後は、この水面膜のさらなる応用を目指した研究を遂行していく。
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