研究課題
パルサーから観測された光度曲線のデータを用いてパルサー外部の電磁場構造と放射領域への制限を行うこと、また同時に銀河中心ブラックホールの周りのガスの空間構造に対して制限を行うことを目的として、以下のとおり実施した。(1)パルサー外部の磁場構造に対して、従来の真空モデルからより現実的にそのずれを考慮したモデルへ改良を行った。このモデルを用いて観測される光度曲線との比較を行った結果、加速電場が外側に存在するアウターギャップモデルの枠組みではγ線だけでなくX線、可視光までの幅広い波長にわたる光度曲線が説明可能であることを明らかにした。また、磁場構造はフォースフリー近似のもとでのシミュレーション結果とよく一致することを発見した。よって今回の結果はフォースフリー近似に妥当性を与え、かつこのモデルの応用でさらに発展が期待でき、放射効率についての研究を現在推進している。(2)銀河中心ブラックホールと周りのガスの相互作用の結果として期待される、銀河中心ブラックホールの質量とそのホスト銀河の質量の相関関係に対する時間進化モデルを構築して遠方宇宙における両者の関係について、質量依存性を新たに考慮して解析を行った。その結果、赤方偏移1から現在まででは比較的質量の大きい銀河では質量の進化が起こっておらず、小さい銀河では銀河中心ブラックホールの成長が先行しているという質量依存の振る舞いを明らかにした。この結果を、空間非対称性を持つブレーザーに応用することで空間構造に制限を与える研究を現在進めている。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: VOL.405 ページ: 1285-1292