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2012 年度 実績報告書

間接型半導体における電子正孔系量子凝縮相実現へむけた相制御の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J08168
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 剛  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード励起子 / 絶縁体金属転移 / 電子正孔系 / 半導体
研究概要

間接遷移型半導体における量子凝縮相実現のために、本年度は、比較的高温で起こる励起子モット転移について精力的に研究し、一定の成果を上げることに成功した。間接遷移型半導体Siにおける励起子モット転移については、様々な励起密度における自由キャリア及び励起子の振る舞いを、各々の成分の密度及び散乱確率を定量的に求めることにより考察し、転移密度近傍における自由キャリアの強い相関の発現や、縦波共鳴モードにおいて励起子とプラズモンが結合することなどを明らかにした。さらに、広い温度・密度領域において、イオン化率を求めることで、Siにおける、励起子モットクロスオーバー領域における相図を決定した。イオン化率の振る舞いを見ると、高温領域では、サバ方程式に半定量的に従い、励起子と自由キャリアの割合が、熱力学的安定性に従って決まっていることが分かった。一方、低温領域においては、遮蔽効果が顕在化し、励起密度の上昇と共に励起子が解離していく様子が表れ、低温になるほど、より急峻にイオン化率が上昇する様子が表れた。このことは、一つの可能性として、より低温で予言されている一次転移の前兆の可能性を示唆する結果であると考えられる。直接遷移型GaAsにおける励起子モット転移の研究では、波形整形技術の開発により、励起子共鳴励起が可能になった。励起子共鳴励起下での振る舞いは、励起子の応答が過渡的に観測されるものの、非常に不安定であり、わずか5ps後には解離していく振る舞いも観測された。しかしながら、励起子の応答は、モット密度以上でも表れ、かつ1s-2p遷移エネルギよが変化しないことから、Siで見出された励起子の頑強さは、GaAsにも共通する普遍的なものである可能性を示唆する結果である。このように本年度は、励起子モット転移を詳細に調べ、量子凝縮相実現のために、有益な情報を得ることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Exci ton Mott Transition in Si Revealed by Terahertz Spectroscopy2012

    • 著者名/発表者名
      T. Suzuki and R. Shimano
    • 雑誌名

      Physical Review Letters

      巻: 109 ページ: 46, 402

    • DOI

      10.1103/PhysRevLett.109.046402

    • 査読あり
  • [学会発表] テラヘルツ分光法によるSiにおける励起子モットクロスオーバーの観測と相図の決定2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木剛
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学(広島県)
    • 年月日
      2013-03-27
  • [学会発表] Evidence of non-vanishing excitonic correlation near the Mott transition in Sirevealed by THz time domain spectroscopy2012

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Suzuki
    • 学会等名
      CLEO : 2012
    • 発表場所
      San Jose, USA
    • 年月日
      20120506-20120511

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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