研究課題
10^6cm^<-2>以下となる半極性(1-101)GaN/Siストライプを作製し、その上に発光波長が青色(λ=422nm)から緑色(λ=540nm)のInGaN/GaN多重量子井戸を作製し、PLによって内部量子効率の評価を行った。下地結晶の高品質を反映し、輻射再結合が支配的となる優れた発光特性を有していた。内部量子効率は青色で90%以上と高い値を示した。しかしながら発光波長が長波長になるにつれて内部量子効率の低下が見られた。断面TEM解析およびXRD測定から、InGaN中のIn組成が高くなると量子井戸程度の幅で格子緩和し、積層欠陥が導入されることが分かった。また導波路構造を作製し、波長420nmにおいてシリコン基板上としては世界初の誘導放出高を得た。しかしながら緑色では誘導放出光は得られず、格子緩和による欠陥が影響しているものと思われる。そこで発光層における格子緩和を回避すべく下地層をGaNからInGaNに変更することを提案した。従来の(0001)面上にInGaNを厚く成長した場合、表面は{1-101}ファセットで構成されたピットにより平坦な面を得られなかった。一方で半極性(1-101)GaNを下地層として用いると、厚膜を成長しても表面にはピットは見られず平坦性に優れた結晶であることが分かった。このInGaNに対しXRD測定とAFM測定により成長過程の詳細な解析を行った。半極性面上のInGaNはまず初めにc軸方向にチルトを伴う格子緩和を生じ、次いでa軸方向に格子定数が増大する二段階の過程であることが分かった。表面は格子緩和時に三角形状のグレイン構造を形成するが、膜厚の増大に伴いグレインサイズが大きくなる、平坦化プロセスを確認した。今後、半極性InGaN中の転位や積層欠陥の発生・消滅機構を明らかにすることで高品質InGaN結晶および高効率緑色発光素子の実現が期待できる。
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