研究概要 |
本研究では、MOVPE法により非極性窒化物半導体の選択成長技術を用いて、新規デバイスを実現することを目的とする。無極性、半極性及び極性の自立基板を用いたLEDは緑領域の発光が確認されている。しかし、その物性などが検討されていない。今年度は無極性、半極性及び極性の自立基板のラマン分光に関する研究を行い、以下のことを明らかにした。 (1)本研究はHVPE法による高品質な厚膜結晶より切り出された無極性面、半極性面、極性面の結晶を用いた。試料のX線半値幅は100arcsec以下で、例えば(10-10)面のGaNの半値幅は85arcsecであり、結晶性が非常に優れている。 (2)ラマン散乱分光により全ての試料においてE_2(low),E_2(high),A_1(TO),E_1(TO),LOPCモードが観測された。結晶の面方位を無極性面である(10-10)面から極性面である(0001)面を変えることによって、730cm^<-1>から760cm^<-1>付近でLOPCモードが観測された。一般的に知られているように、LOPCモードのラマンスペクトルのピークはキャリア濃度に比例してシフトしている。それに加えて、ラマン選択則によりLOPCモードが面方位と対応していると考えられる。シミュレーションで面方位によってキャリア濃度が変化しているときのLOPCモードのラマンスペクトルのピーク位置を算出した。ホール測定で得られたキャリア濃度と理論計算を比較し、0.4×10^<17>cm^<-3>の誤差でほぼ一致していることがわかる。 上記(1)と(2)により、今年度は非極性GaNバルクの光物性ラマン振動モードにおいてピーク位置を定め、そして非極性GaN基板のLOPCモードピーク位置でキャリア濃度の算出を提案し、その誤差を見極めた。
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