研究概要 |
本研究では、相変化材料を用いた光マトリクススイッチの実現を目的としている。平面回路型の光マトリクススイッチは、複数の単位スイッチおよび交差導波路の組み合わせにより実現される。平成22年度は、1.単位スイッチ(相変化光ゲートスイッチ)および2.低クロストークなオフセット交差導波路の実現を目標とした。 1.相変化光スイッチは低消費電力、小型、高速応答といった特徴を兼ね備えた新規のスイッチである。まず研究の第1歩としてゲートスイッチを設計し、試作を行った。Si細線導波路上に20nmの相変化薄膜(Ge_2Sb_2Te_5)を積層した相変化光ゲートスイッチの長さは、5μmと極めて微小である。nsオーダのパルス照射により、世界で初めてそのスイッチング動作に成功した。はじめはスイッチング動作が数回程度と少なく、また消光比も小さく安定しなかったが、チップの再設計および再試作、パルス条件の最適化を行い、最新の結果では平均消光比9.7dBで1,000回のスイッチング動作に成功している。 2.スイッチの大規模化に向けては、低クロストークな交差導波路が不可欠である。提案するオフセット交差導波路を設計、試作し、クロストークの低減を目指した。オフセット構造により、Eyモードで-53.9dBというほぼ計算値通りの極めて小さなクロストークが得られた。Exモードでは-15dB程度のクロストーク(計算値-35dB)しか得られなかったが、これは作製時に交差近傍で生じる"くさび"形状が原因であり、オフセットに加えコア幅を最適化することで、さらにクロストークを低減できると考えている。
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