研究概要 |
本研究では、相変化材料とシリコン導波路を用いた光マトリクススイッチの実現を目的としている。相変化光スイッチは超小型、高速応答性、自己保持機能といった特徴を兼ね備えた新規の光スイッチである。平面光回路型のマトリクススイッチは、複数の単位スイッチを組み合わせることで実現されるため、高性能なマトリクススイッチを得るためには、1×1、1×2、2×2といった単位スイッチの高性能化が必要不可欠である。 昨年度は単位スイッチとして1×1スイッチ(ゲートスイッチ)を設計および試作し、1,000回のスイッチング動作に成功した(平均消光比9.7dB)。今年度は主にゲートスイッチの性能改善を目標とし、リブ型、MMI型の設計、試作を行った。 1.リブ型ゲートスイッチ シリコン導波路断面を以前のチャネル形状からリブ形状にし、相変化材料をより放熱しやすくした。また電界のエヴァネッセント成分を増やすことで消光比は15dBまで改善された。1,000回のスイッチング動作に対し、安定な消光比を得た。 2.MMI型ゲートスイッチ シリコン導波路をMMI(マルチモード干渉)型にし、相変化材料のパターニング(リフトオフ)を可能にした。パターニングにより相変化材料を全体的に相変化させることが可能になり、挿入損失が低減される効果がある。2,000回のスイッチングに対し、平均消光比12.6dBであった。また動特性を観測し、スイッチング速度130ns(立ち上がり時間)、400ns(立下り時間)をそれぞれ得た。また自己保持機能を実証することができた。
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