研究概要 |
本研究ではカーネルマシンと呼ばれる多変量解析の手法について注目している.この手法はデータ解析の様々な問題に対する基本ツールとなっており,テキスト分類や画像処理等その応用は幅広い.カーネルマシンは最適化問題の形で表現されるため実装ではこの最適化問題を如何に効率良く解くかが重要となる.本研究では特に,データや問題の設定が変化し最適化問題を何度も解く必要がある場面について考える.本年度は特に(1)カーネルマシンの非線形正則化パス追跡と(2)カーネルマシンの重要度変化の2つを行った.(1)に関してはカーネルマシンのモデル複雑度を設定する正則化パラメータに関して考える.通常このパラメータの設定は試行錯誤により何度も最適化を繰り返して行うが,あるクラスの問題に対しては正則化パラメータと最適解の変化が解析的に得られることが知られていた.本研究では,従来では最適解の変化が解析的に得られなかった最適化問題のクラスについて効率的に最適解が解析的に追跡できることを示した.この成果は国際会議IJCNNで発表し,論文を投稿した.(2)では個々のデータが重要度を持つ状況を考える.本研究ではこのような重要度の変化に対して最適化問題を効率良く解析的に調べる方法を示した.このアプローチは共変量シフト適合や不均一分散下学習,ランキング学習等など実践的な応用事例が多く,実際にいくつかの事例に関して効率の良い最適化が可能であることを確認した.この成果は論文誌に投稿中である.
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