研究概要 |
今年度の研究により,得られた主な成果を以下に記す. (1)DRP1とDRP2には分子間相互作用がある DRP1およびDRP2が細胞内で同一の分子装置を構成しているとすれば,両者が結合している可能性も考えられる.そこで今年度は,DRP1およびDRP2の間に直接的な分子間結合が存在するかどうかを,Yeast-two hybrid法,BiFC法,FRET法を用いて検証した.その結果,DRP1とDRP2の間には分子間相互作用が存在することが明らかになった. (2)DRP1とDRP2は細胞膜上でリング状構造を形成する これまで生体内において,エンドサイトーシスに関与するダイナミン様タンパク質が実際にリング状の構造体を形成するか否かは実証されていない.そこで,全反射照明と構造化照明を組み合わせた超高解像顕微鏡システムを用いて,細胞膜上におけるDRP1およびDRP2の詳細な局在様式を観察した.その結果,DRP1およびDRP2は実際に細胞膜上で内径が60nm程のリング状構造を形成することが分かった. (3)シロイヌナズナSH3P3はDRP1およびDRP2と細胞膜上で共局在する 動物のダイナミンと相互作用して機能する主要な分子の一つにAmphiphysinがある.この分子の特徴として,膜の曲率を作り出すために重要なBin-Amphiphysin-Rvs(BAR)ドメインとダイナミンを小胞形成場所へ局在化させるのに必要なSrchomology 3(SH3)ドメインを持つことが挙げられる.そこで本研究では,DRP1およびDRP2を含むエンドサイトーシス小胞形成装置の実体を明らかにすることを目標とし,まずそれらと細胞膜上で相互作用するSH3ドメインを持つ分子の同定に取り組んだ.その結果,シロイヌナズナSH3P3がDRP1およびDRP2と細胞膜上で共局在することが分かった.
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