• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

ケイ素原子架橋TME型中間体の電子構造の分光学的および理論的評価

研究課題

研究課題/領域番号 10J09311
研究機関大阪府立大学

研究代表者

狩野 佑介  大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードシロール / テトラメチレンエタン(TME) / DFT計算 / 光誘起電子移動反応 / レーザーフラッシュフォトリシス / 軌道相互作用 / 過渡吸収スペクトル / ケイ素
研究概要

本研究は,シロール誘導体である1,1-ジメチル-3,4-ジ(α-スチリル)シロール(1)を新規合成し,この光誘起電子移動反応でケイ素原子架橋テトラメチレンエタン(TME)型ラジカルカチオン2^<*+>とビラジカル2^<**>を発生させ,これらの分光学的および理論的な評価を目的としている.
平成22年度において,申請書に記載した1年目の研究計画(以下の(1)~(3))を遂行すべく研究を行った.(1)シロール誘導体1の新規合成
現在,基質1の前駆体である1,1-ジメチル-3,4-ジベンゾイルシロールの合成にまで成功している.今後,ただちにWittig反応もしくはPeterson反応等で1を合成する予定である.
(2)TD-DFT計算を用いた過渡中間体(1^<*+>,2^<*+>,^12^<**>,^32^<**>)の電子遷移の評価
過渡中間体のうち,一重項種の^12^<**>と三重項種の^32^<**>の時間依存密度汎関数理論(TD-DFT)計算を行いその分子軌道と電子遷移について知見を得た.その結果,^12^<**>の電子遷移は673nmに,^32^<**>のそれは450nmに算出され,互いに大きく異なることがわかった.このことは,^12^<**>と^32^<**>を同時に発生させた場合,それぞれの過渡吸収を容易に区別して観測できることを示している.また,閉殻種である母体シロールと同様に,開殻種であるシロール誘導体^12^<**>のLUMO+1と^32<**>のLUMOおよびSOMOにも同様に,シロール環の2位と5位の間に軌道相互作用が発現するという興味深い知見も得た.これらの成果をまとめた学術論文をJ.Phys.Org.Chem.誌に招待論文として投稿中である.査読の結果,わずかな修正を要求されたのみでありまもなく受理される見通しである.
(3)レーザーフラッシュフォトリシス(LFP)を用いた中間体(2^<*+>,^12^<**>,^32<**>)の過渡吸収スペクトルの観測現在のところ,1の合成には至っていないため検討できていないが,1が合成された後,ただちにLFPを用いて中間体(2^<*+>,^12^<**>,^32<**>)の過渡吸収スペクトルの観測を行う予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 光誘起電子移動によって発生するテトラメチレンエタン型中間体の分光学的研究2011

    • 著者名/発表者名
      池田浩, 狩野佑介, 落合鋼志郎, 高橋康丈, 水野一彦
    • 学会等名
      物質・デバイス領域共同研究拠点共同研究シンポジウム
    • 発表場所
      大阪大学,大阪
    • 年月日
      2011-01-29
  • [学会発表] Selective Observation of 'Tetramethyleneethane-type Biradical and Radical Cation Intermediates on Laser Flash Photolysis2010

    • 著者名/発表者名
      Y.Kano, H.Ikeda, K.Ochiai, Y Takahashi, K.Mizuno
    • 学会等名
      2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2010)
    • 発表場所
      Honolulu, Hawaii, USA.
    • 年月日
      2010-12-17
  • [学会発表] メチレンシクロブタノンラジカルカチオンの開裂反応における位置選択性のDFT法による評価2010

    • 著者名/発表者名
      狩野佑介, 池田浩, 田中太, 水野一彦
    • 学会等名
      第21回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学,名古屋
    • 年月日
      2010-09-10
  • [学会発表] 1,4-ジシアノ-2-メチルナフタレン-N,N-ジメチル-p-トルイジン連結Dyadの分子間および分子内エキシプレックスの生成2010

    • 著者名/発表者名
      井本充隆, 池田浩, 狩野佑介, 谷口久次, 玉置晃弘, 竹田元則, 水野一彦
    • 学会等名
      2010年光化学討論会
    • 発表場所
      千葉大学,千葉
    • 年月日
      2010-09-08
  • [学会発表] メチレンシクロブタノンラジカルカチオンの位置選択的開裂反応のDFT法による評価2010

    • 著者名/発表者名
      狩野佑介, 池田浩, 田中太, 水野一彦
    • 学会等名
      第34回有機電子移動化学討論会
    • 発表場所
      大阪府立大学,堺
    • 年月日
      2010-06-25

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi