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2010 年度 実績報告書

新規Ir-PNP錯体を用いた二酸化炭素の固定化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10J09448
研究機関東京大学

研究代表者

田中 亮  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード二酸化炭素 / 水素化 / ギ酸 / ピンサー配位子 / イリジウム
研究概要

高活性な二酸化炭素の水素化触媒を開発するため、新規Ir-PNP錯体の合成に取り組み、ピリジルメチル位にベンゾイル基を導入した錯体とピリジン環にスルフィド基を導入した錯体の合成に成功した。これによって、PNP骨格の様々な場所に対し官能基を導入する手法が確立された。
合成した錯体を用いて塩基存在下での二酸化炭素の水素化を試みた。その結果、電子求引基であるカルボニル基を導入した錯体を用いた場合に対応するジヒドリドクロリド錯体よりも活性が向上し、当初の想定通りピリジルメチル位の水素の酸性度が二酸化炭素の水素化活性に大きく影響するという知見が得られた。
また、計算化学的手法を用いてIr-PNP錯体上でのギ酸の生成機構について考察した。計算手法としてB3LYP、基底関数としてLanl2dz(f)/6-31G++^<**>を用いて単離されている中間体と考えられる遷移状態についてDFT計算を行った。また、PCM法を用いて水の溶媒効果を見積もった。その結果、最も安定な中間体はカチオン性ジヒドリド錯体であると推定され、続く脱プロトン化によって得られるジヒドリドアミド錯体を安定化できれば、律速段階である水素の付加がある程度加速される、すなわち、ピリジルメチル位の水素の酸性度の向上が活性の向上に繋がるであろうという知見が得られた。
このように、実験化学と計算化学の両面において、二酸化炭素の水素化活性においてIr-PNP錯体に電子求引基を導入することの有用性が示された。これらの結果は酸性条件での二酸化炭素の水素化を目指す上で非常に重要な知見である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Ir-PNP錯体を用いた二酸化炭素の触媒的水素化:実験と計算化学を併用した機構解析2011

    • 著者名/発表者名
      田中亮・山下誠・野崎京子・Chung Lung Wa・諸熊奎治
    • 学会等名
      第91回日本化学会年会
    • 発表場所
      神奈川大学(神奈川県)
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] Ir-PNP錯体を用いた二酸化炭素の水素化によるギ酸合成2010

    • 著者名/発表者名
      田中亮・山下誠・野崎京子
    • 学会等名
      第57回有機金属化学討論会
    • 発表場所
      中央大学(東京都)
    • 年月日
      2010-09-16
  • [学会発表] Catalytic Hydrogenation of Carbon Dioxide Using Ir(III)-pincer Complexes and Its Mechanistic Investigation2010

    • 著者名/発表者名
      Ryo Tanaka ; Makoto Yamashita ; Kyoko Nozaki
    • 学会等名
      24th International Conference on Organometallic Chemistry
    • 発表場所
      台北(台湾)
    • 年月日
      2010-07-19

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公開日: 2012-07-19  

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