研究課題/領域番号 |
10J09619
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本間 謙吾 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | 小胞体ストレス / 亜鉛 / ALS / ストレス応答 |
研究概要 |
本研究は、ALSにおける変異型SOD1による小胞体ストレス誘導メカニズムの新知見に基づき、生理的ストレス応答としての野生型SOD1とDerlin-1結合による小胞体ストレス誘導の分子機構ならびに病態生理学的意義の解明を目的としている。昨年までに、亜鉛枯渇によって、野生型SOD1とDerlin-1が結合すること、ならびに小胞体ストレスが誘導されることを見出した。 今年度は、亜鉛枯渇下で誘導される小胞体ストレスによる、PERK経路を介したタンパク質翻訳抑制がDerlin-1のノックダウン細胞において減弱することを明らかにし、亜鉛枯渇時に誘導される小胞体ストレスがSOD1とDelin-1の結合を介して翻訳抑制を行っていることが明らかとなった。それに伴い、Derlin-1のノックダウン細胞では亜鉛枯渇時のviabilityがコントロール群に対して優位に低下していた。 さらに、小胞体ストレスに誘導される亜鉛トランスポーターが見いだされたことから、SODとDerlin-1結合を介した小胞体ストレスは亜鉛恒常性の維持に関与している可能性が考えられる。 今後は、亜鉛枯渇時に惹起されるSOD1とDerlin-1結合による小胞体ストレスが亜鉛トランスポーターを誘導しているのか、亜鉛恒常性維持にどのように関わっているのかを明らかにすることによって、SOD1とDerlin-1の結合による小胞体ストレス誘導の生理的な役割を明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小胞体ストレスによりmRNAが誘導される複数の亜鉛トランスポーターを発見するに至った。今後はそれらのSOD1とDerlin-1結合依存性や、タンパク質発現、機能等を解析することが必要である。 Derlin-1 KOマウスの作成は予定通りに進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
小胞体ストレスによりmRNAが誘導される複数の亜鉛トランスポーターのSOD1とDerlin-1結合依存的な誘導や、タンパク質発現を検証する。この解析には、亜鉛トランスポーターは細胞種ごとに発現が異なるため、様々な細胞種の検討を行う必要がある。また、各亜鉛トランスポーターの活性を測る実験系も構築する予定である。 また、生理的な重要性を示すため、in vivoにおける実験系を構築したいと考えている。
|