研究課題/領域番号 |
10J09620
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
服部 一輝 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1) (40708575)
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キーワード | MAPキナーゼ / ASK1 / ASK3 / マイクロアレイ |
研究概要 |
ASK3はASKファミリーに属する分子であり、ASK1と同様に下流のJNK経路、p38経路を活性化することから、MAP3Kとして機能していることが知られている。さらにASK3に特徴的な現象として、細胞外の浸透圧変化に対し両方向性に反応することが明らかとなっている。すなわち、ASK3は低浸透圧環境下においては活性化されるのに対し、高浸透圧環境下においては不活性化される。しかしながら、ASK3の生理的な存在意義に関しての知見はほぼ得られておらず、ASK3ノックアウトマウスを作製しトランスクリプトーム解析を行うことでASK3の生理的意義解明へのアプローチを試みた。 臓器ごとのイムノブロット法による解析から、ASK3は特に腎臓において高発現していることが明らかとなっていたため、ASK3ノックアウトマウスの腎臓におけるトランスクリプトームの変化をDNAマイクロアレイ法によって解析した。その結果、野生型のマウスと比較して発現量の変化が顕著な25遺伝子を同定した。 続いて25遺伝子に関しての文献調査を行った結果、脂肪細胞に関連する遺伝子が多く含まれていることが明らかとなった。そのため、それらの分子の脂肪組織における発現量をReal-time PCR法により検討したところ、腎臓においてと同様にASK3ノックアウトマウスの脂肪組織においても発現量の変化が確認された。これらの結果よりASK3ノックアウトマウスにおいては、脂肪関連遺伝子の発現量変化が脂質代謝能の変化などを通じて個体レベルでの影響をもたらしている可能性が示唆される。今後は細胞レベルでの解析を行うことにより、ASK3の脂肪細胞における生理的意義を解明していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定にはなかった脂肪組織におけるASK3の機能解析にまで着手することができ、今後の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
ASKファミリーの脂肪組織における機能解析はこれまでほぼ行われていないため、ASK3のみならずASKファミリー全般に関する解析を行なっていく予定である。
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