根寄生植物の種子発芽刺激物質であり、かつアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の菌糸分岐誘導物質であり、さらには植物地上部の枝分かれを抑制する新しい植物ホルモンでもあるストリゴラクトン(SL)について、(1)異なるリン酸栄養条件下における他の植物ホルモンとの相互作用、(2)根寄生植物Striga耐性トウモロコシのSL分泌とAM菌共生との関連性を調べた。(1)では、植物ホルモンのうちサイトカイニンはイネのSL生産・分泌およびSL生合成関連遺伝子の発現を顕著に抑制することが明らかになった。つまり、サイトカイニンはSL生産を抑制することにより地上部分岐を促進している可能性が示唆された。(2)では、根寄生雑草耐性・感受性品種間では異なるAM菌の群衆構造が確認された。これらの結果により、SLを介した植物地上部分岐の制御メカニズム解明のための基礎的な知見を得られただけでなく、サイトカイニンによりSL分泌を抑制し、根寄生雑草被害の緩和を行う新規根寄生雑草制御法が提言された。
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