■未邦訳であったMorrisの著作、『Varieties of Human Values』の分析と再検討:「幸福」の概念、「幸福観」の調査、分析の方法論的検討にあたる。同時に、Bentham、Dienerらの理論的検討と併せることで、経済学と心理学(および医療心理学)を中心に考察されてきた「幸福」の概念に対して、これらを解釈し直し、統合し、より実践的概念として利用可能にできる。 ・理論的枠組みしては、福祉(社会)学の取り組みとの関連についても別稿で整理検討の小括を作成中。 ■経済学を中心に議論されている「Easterlinのパラドックス」に対して、社会学の立場から、社会変動の社会意識に与える影響を考慮に入れる新しい分析視点を導入できることを明らかにした。 ・昨年度の[幸福観における「近代化」の影響」についての研究を、東欧及び旧ソ連諸国の典型牲に特に注目して進めることにより、「近代的幸福観」の存在とその内容を明確にすることが出来た。この結論は、社会的幸福観の存在とそのクラスターを示唆もしている。計量的分析手法と歴史的(文化、思想、制度)背景の考察を併せ、学会報告にもまとめている。 ■独自の調査にむけて、フランスでは協力者、協力団体に依頼とラポールをとりながら設計計画を進めている。 ・計最的分析と先行研究およびアクセシビリティの考慮から、調査対象地をフランス(パリ〉とメキシコと決定。MorrisおよびWorld Values Surveyの調査分析方法、これらの調査方法に対する継続研究および批判的研究(大山、真鍋、安藤、関西学院大学旧COE等)を参考に、調査計画を立案中。
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