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2010 年度 実績報告書

オデュッセイア的自己性の倫理学:ジャンケレヴィッチ形而上学の実践的展開

研究課題

研究課題/領域番号 10J10213
研究機関明治大学

研究代表者

三河 隆之  明治大学, 文学部, 特別研究員(PD)

キーワードジャンケレヴィッチ / シェリング / 遅れ / 倦怠 / 郷愁 / オデュッセイア / 物語論 / 出隆
研究概要

今年度は研究課題の初年度として、ジャンケレヴィッチの思想にがんする基礎的な再検討の作業を進めることに努めた。第一に、若きジャンケレヴィッチが博士主論文『後期シェリング哲学における精神のオデュッセイア』で論じていらい重要な基盤の一端でありつづけたシェリングの思考との関連について考察を行なった。シェリングじしんの著作や関連文献を検討することを通じ、ジャンケレヴィッチによるシェリング読解の特徴や、それと後年のジャンケレヴィッチの思索との連関のありかたをさぐり、来年度以降の研究への足がかりを得ることができた。第二に、ジャンケレヴィッチの思想の特徴である時間性にかんする論考を公刊することができた。上記のシェリング読解とも関連するが、ジャンケレヴィッチにおいて決定的に重要でありつづけた〈過去性〉を念頭に置きながら、各著作で遅れ、倦怠、郷愁といった主題において展開されている議論を、ジャンケレヴィッチ哲学全体の布置を意識しながら一つずつ跡づける作業が一定の成果へと結実したことは、今年度の研究成果であったといえよう。第三に、研究課題名にも挙げた「オデュッセイア的自己性」という観点を、ジャンケレヴィッチの形而上学・倫理(学)的視点から精錬するための準備的考察を進めることができた。具体的には、ジャンケレヴィッチ自身のオデュッセイア読解の再検討、および、物語論的な考察や、とくに文学と哲学の関連についての考察を行なった先行研究のフォローなどを進めた。これらも含めた作業を次年度以降も継続したうえで、本研究課題に即したさらなる研究成果の公表を実現したい。なお、本研究課題に多角的側面を与えるべく、ジャンケレヴィッチと同時代に、かれと同様にソクラテス的道徳実践の考察に注力した日本の哲学者である出隆の思索についても、本格的な検討に着手した。この考察は来年度以降も継続して行なう。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 時宜と遅れ-ジャンケレヴィッチの時間性把握の特質2010

    • 著者名/発表者名
      三河隆之
    • 雑誌名

      フランス哲学・思想研究

      巻: 14 ページ: 144-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 郷愁の二重性と正当性-ジャンケレヴィッチのオデュッセイア解釈をめぐって2010

    • 著者名/発表者名
      三河隆之
    • 雑誌名

      哲学の探求

      巻: 37 ページ: 137-152

  • [雑誌論文] ジャンケレヴィッチにおける事後性の問題-倦怠・混沌・現実化2010

    • 著者名/発表者名
      三河隆之
    • 雑誌名

      実存思想論集

      巻: 25 ページ: 152-167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 出隆における哲学と実践(一)-『哲学以前』を中心に2010

    • 著者名/発表者名
      三河隆之
    • 雑誌名

      思想史研究

      巻: 12 ページ: 106-117

  • [学会発表] ジャンケレヴィッチの勇気論2010

    • 著者名/発表者名
      三河隆之
    • 学会等名
      日本倫理学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2010-10-09

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公開日: 2012-07-19  

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