研究課題/領域番号 |
10J10390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中山 順子 (笠原 順子) 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | 地域在住高齢者 / Quality of Life / 主観的幸福観 |
研究概要 |
当研究室では本邦地域在住高齢者の「生活の質」(Quality of Life : QOL)や「豊かな老い」(Optimal ageing)の実態を探るため、日本国内3町村フィールド(北海道浦臼町、三重県大台町、高知県土佐町)での包括的高齢者機能調査(Comprehensive Geriatric Assessment : CGA)を1990年代から行ってきた。私は2004年以降に同行した調査から高齢者の身体的・心理的健康(抑うつ状態)、日常生活機能(食事行動や保清行動)、社会参加の背景、経済常態について、各項と「生活の質」(Quality of Life : QOL)がいかに関連しているか研究を進めている。平成24年度の研究では、3町の65歳以上の地域在住高齢者(入所、入院しておらず、家で暮らす高齢者)約4000人分のデータを用い(2006年分)、自記式質問紙である転倒スコア(21項目)と健康指標(歩行、食事、入浴するなどの身体的な日常生活機能、物忘れなどの認知機能、抑うつなど)、主観的健康観(self-rated health:自分をどのくらい健康だと思うか)、主観的幸福観(self-rated happiness:自分をどのくらい幸福だと思うか)の関連について、どのような傾向があるのか解析した。転倒スコアは、高齢者の主観的健康観と有意に関連していることがわかり、今後の検診における転倒スコアの汎用性が示唆された。 調査フィールドの3町は、既に高齢化率が3割をこえており、ここから得られる知見は2030年以降、高齢者が3割を超える日本全体のモデルケースになりうる。地球規模で進む人類の高齢化時代に、どのような尺度が人類の幸福観を測定する一助となるか、試金石となる研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の研究期間は、育児休業の取得により3カ月であったが、2つの研究を学会へ投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた本邦、ギニア、エチオピアの地域在住高齢者のデータを多角的な切り口から解析して、高齢者の健康と主観的幸福観の関連を研究する。
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