本研究の目的は、ニュージーランドで展開される業務・業績管理システム(Performance Management Systems : PMS)、及び学校管理職の養成・研修制度に着目し、両者がいかに学校組織マネジメントに貢献しているのか明らかにすることである。本研究の初年度にあたる本年度においては、PMSに焦点をあて、PMSは各学校でどのように受容され、構築・展開されているのか、校長・教職員はPMSをどのように活用しているのかについて明らかにすること課題として設定した。 具体的には、現地訪問調査において学校訪問を行い、学校が独自に作成しているPMS関連文書の収集や校長・教職員へのインタビュー調査を実施し、分析を行った。また、教育省のPMS担当者へのインタビュー調査を実施した。あわせて、PMSの背景や理念について理論的な分析を行うため、オークランド大学やヴィクトリア大学の図書館、及び国立図書館での資料収集を行った。その結果、ニュージーランドは自律的な学校経営を推進しているため、PMSの取り組みは各学校によって異なることが挙げられるが、総じて、教員の人事管理的な要素と職能開発的な要素の両面をPMSのもとに組み込み、展開していることが明らかになった。そして近年、職能開発的な部分により重点を置いている現況を看取できた。また、PMSにおいて実施する職能開発の機会は、教職員に比較的好意的に受け止められている実態をみることができたが、研修機会等は各学校の判断に委ねられているため、その取り組みに学校間での差異を指摘することができた。現地の学会(New Zealand Association for Research in Education)にも参加し、最新動向と情報・資料の収集に努めた。
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