研究課題/領域番号 |
10J10526
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
平松 竜司 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 病因病態部門, 特別研究員(SPD)
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キーワード | 前後軸 / Wnt / マウス |
研究概要 |
脊椎動物の体に存在する3つの体軸の中でも、前後軸の決定は最初になされる軸形成であり、それに従って、形態形成が進行する。これまでの解析から、マウスでは、着床直後の胎齢5.5日胚のもっとも遠位に存在する臓側内胚葉(DVE : distal visceral endoderm)が一方の近位に移動し、前方臓側内胚葉(AVE : anterior visceral endoderm)を形成することで、前後軸が決定されると考えられている。また、このDVE細胞の移動にWntシグナル勾配が関与することが明らかとなっている。そこで本研究では、遠位内胚葉の前方への移動がどのようにWntシグナル勾配に制御されているかという点を切り口に、哺乳類の体軸形成機構を時間・空間的に理解することを目的とする。本年は昨年度に検討を行った着床直後のマウス胚の培養条件について、さらに改良を行い、着床直後から中胚葉形成までを再現できる培養条件を確立し、その条件下でコンフォーカル顕微鏡下でのイメージング解析が可能な条件の確立も行った。さらに、イメージング解析に必要である、マウス胚を蛍光蛋白で標識した新規のトランスジェニックマウスを樹立した。また、Wntシグナル遺伝子変異マウスを用いて、Wntシグナルが直接的に制御している遺伝子の探索を行った。これらの解析の結果、Wntシグナル勾配により細胞外基質の空間的局在パターンが制御され、そのパターンが生ずることでDVE細胞の移動を促進し、前後軸の形成が誘導されることを強く示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着床直後胚の培養条件の確立や新規のマウスラインの樹立、それらを用いたライブイメージング解析、前後軸形成に関与するWntシグナルの下流遺伝子の同定など、当初の目的通りに研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
既に大まかな解析結果は得られており、なるべく早期に論文が投稿できるよう準備を進めている。
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