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2011 年度 実績報告書

テストが教師・学習者に及ぼす影響―テスト観に着目して―

研究課題

研究課題/領域番号 10J10553
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 雅之  東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードテスト / テスト観 / 学習方略 / テスト接近-回避傾向 / 有能感 / インフォームドアセスメント
研究概要

引き続き,「テストの実施目的・役割に対する学習者の認識」であるテスト観に着目して研究を行った。まず,定期テストの勉強時に使用される学習方略と,定期テスト後の見直し行動を行う際に使用される学習方略の関係,及びこれらの方略使用とテスト観の関連について検討を行った。また,テスト観と方略使用の関係を媒介する要因として,テストを受けることに対して接近するか回避するかという2つの動機に着目した。高校生493名を対象に質問紙調査を実施し,解析を行った結果,テスト接近傾向の高い学習者ほど,適応的な学習方略を用いる傾向にあり,「テストは学習の改善に活用するためのものであり,また学習のペースメーカーとなる」というテスト観を有する学習者ほど,テスト接近傾向は高いことが示された。さらに,学習方略間の関連やテスト接近-回避傾向の影響を考慮しても,テスト観と学習方略には関連があることが示され,テスト観への介入の重要性が示唆された。
次に,教師のテスト運用方法と学習者のテスト観の関連について検討した。テスト運用方法については,テストの実施目的や評価基準を生徒に理解させる取り組みであるインフォームドアセスメントと,テスト内容に着目した。中学生・高校生1358名(全10校)を対象に質問紙調査を実施し,マルチレベル分析を行った。その結果,インフォームドアセスメントに関する取り組みを教師が行っていると認知する学習者や,テストで出題される問題の実用性が高いと認知している学習者ほど,肯定的なテスト観を持ち,教科能力を測っているとは思えない問題が出題されていると認知する学習者ほど,否定的なテスト観を持つ傾向にあることが示された。また,これらの関連に,学校間差や個人差はほとんどみられず,一般化可能性の高い知見であることが示唆された。
以上の研究は,テストと学習行動の関連を明らかにし,テスト運用方法について具体的な示唆を得た点で意義がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的の1つとしていた,「教師の信念が学習者に与える影響」については研究を実施することができなかったものの,その他の研究は順調に実施された。また,データを取り終えた研究を全て論文化できたことは,当初の計画以上の進展であったといえる。以上のことから,総合的な達成度を「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

今後は学習者だけでなぐ,教師を対象とした調査を実施していく。教師の信念や指導方法の実態について検討できるよう,全国の公立中学校・高校のリストを基に多段抽出法を利用して調査対象を抽出し,質問紙調査を実施する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 高校生の英語定期テスト前後における学習方略とテスト観の関係-テスト接近-回避傾向を媒介要因として-2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅之
    • 雑誌名

      日本テスト学会誌

      巻: 8 ページ: 19-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 教師のテスト運用方法と学習者のテスト観の関連-インフォームドアセスメントとテスト内容に着目して-2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅之
    • 雑誌名

      教育心理学研究

      巻: 60 ページ: 272-284

    • DOI

      10.5926/jjep.60.272

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ルーブリックの提示が学習者に及ぼす影響のメカニズムと具体的事例の効果の検討2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅之
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 35 ページ: 279-287

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Classification of Efficient Calculation Problems and the Effect of Instruction Using an Abstract Strategy2011

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M., Tanaka, E., Murayama, K., Ichikawa, S
    • 雑誌名

      Educational Technology Research

      巻: 34 ページ: 75-83

    • 査読あり
  • [学会発表] 高校生の英語定期アスト前後の学習とテスト観の関係-接近-回避傾向を媒介変数として-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木雅之
    • 学会等名
      日本教育心理学会第53回総会
    • 発表場所
      かでる2・7(北海道)
    • 年月日
      2011-07-25
  • [備考]

    • URL

      http://m-suzuki.6.ql.bz/publications.html

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公開日: 2013-06-26  

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