研究課題
本年度は、バイオセンシング技術・バイオイメージング技術への実用を目指し、"(I)水晶振動子マイクロバランス法におけるエネルギー損失解析によって体液でのバイオナノ界面の計測法を確立し形成メカニズムを解明"した。さらに、"(II)細胞を効率的かつ低侵襲にイメージするための材料創製盤現"した。(I)では、水溶液系での生体親和性材料(水酸アパタイト、金)に対するタンパク質の吸着に関わる界面の構造と物性を明らかにした。まず、マイクロバランス法に適した水酸アパタイトナノ結晶の成膜条件を確立し、再現性良くタンパク質を吸着するラジカル表面処理法を見出した。そして、血清の多成分タンパク質溶液から形成される材料表面の吸着層の粘弾性物性と溶媒効果(イオン種の違いの効果)の関係を見出し、複合吸着状態を明らかにした。(II)では、生体内・外でがん細胞を効率よく検出することを目的とし、生体・細胞親和性および発光効率の高いナノ粒子を創製した。具体的に、希土類イオンを添加した水酸アパタイトナノ粒子および多孔質シリカナノ粒子の合成法を確立し、形態を制御し、がん細胞と特異的に結合・取込まれる分子をナノ粒子表面に化学修飾する技術を開発した。その結果、合成したナノ粒子は、可視光励起によりイメージングに十分な赤色発光強度を示した。希土類イオンの添加・表面化学修飾によりナノ粒子の構造・発光は維持され、イメージングに最適なナノ粒子合成法を確立した。本研究の成果は、医療診断技術(振動子法による生体分子検出、体内診断薬剤による内視鏡診断)への実用が可能である。次年度は、超早期診断と低侵襲治療が一体化した機能をもつ材料創製を実施予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 図書 (1件)
Science and Technology of Advanced Materials
巻: 11 ページ: 045002 (8)
Surface Interface Science
巻: 42 ページ: 1548-1551
Materials Science and Engineering B
巻: 173 ページ: 176-181