樹木の炭素固定量と気候変動との関係について明らかにするため、樹木の年輸試料を採取した。2010年11月に東京農工大学FM多摩丘陵において、成長錐を用いて数個体のスギの年輪コアサンプルを採取し、2010年12月から2月に東京大学千葉演習林において約60~90年生のスダジイ25個体および約60年生のコナラ4個体の年輪コアサンプルを採取した。東京大学千葉演習林では、約100年生のスギおよびヒノキ30個体ずつについても幹の円板資料の採取を行った。このように樹齢50~100年におよぶ高樹齢の樹木の年輪を用いることで、これらの年輪解析や同位体分析によって過去数十年で急激に進んだ気候変動が樹木に及ぼす影響を明らかにすることが可能である。これらの年輪資料は、信州大学山地環境保全学講座において固定および薄片作成を行う予定であり、2010年12月に同研究室にて資料作成の打ち合わせを行った。また、2010年1O月の採用以前にすでにサンプリングを行った年輪資料については、資料の確認とデータ整理とを行った。これらのデータを採用後に新たに採取したサンプルとあわせて解析することで、多樹種において地域の違いも含めて気候変動の影響を推定することができる。2011年3月には、愛媛大学演習林において、ツガおよびミズナラの年輪を採取するための調査下見を行った。これらの試料採取は近々行う予定であり、これにより、北海道・関東・四国における地域間差を検討することが可能である。
|