研究課題
本研究では、既にin vitroで基礎検討を実施してきたフラグミン/プロタミン混合微粒子(F/P MPs)及びフラグミン/プロタミン混合ナノ粒子(F/P NPs)を、機能性たんぱく質(サイトカイン)と併用或いは細胞キャリアとして使用する研究を中心に実施した。1.FGF-2或いは多血小板血漿(PRP)併用による治療効果(血管新生効果及び創傷治癒促進効果)の検討についての課題では、倫理委員会の承認を得てPRP含有F/P MPsのヒト毛髪に対する育毛促進効果について病院共同研究者とともに臨床試験を実施中であり、これまでのところ顕著な育毛促進効果がみられている。2.細胞キャリアとしての有効性の検討と皮膚等の再生医療への適用についての課題では、F/P MPsと皮膚線維芽細胞から成るスフェロイドをヌードマウスに皮下投与し、病理組織学的に検討した。その結果、細胞単独群と比較してスフェロイド投与群では投与部位における毛細血管数が有意に増加し、移植細胞の生存率が著しく高まった。3.F/P MPs被覆マトリックスを用いた間葉系幹細胞、造血系幹細胞等の増殖・分化誘導培養キットの作製についての課題では、F/P MPsよりも安定なナノ粒子(F/P NPs)を使用したコートプレートを作製し、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hADMSCs)の増幅培養法を検討した。その結果、低濃度ヒト血漿とFGF-2を併用することで、hADMSCsを効率的に増幅培養することができた。また、増幅後のhADMSCsが多分化能を保持していることを確認した。本研究成果を論文として投稿予定である。4.骨髄造血系細胞を使用したより有効な骨髄移植法の検討についての課題では、マウス骨髄死モデルに骨髄細胞とF/P MPsより成るスフェロイドを骨内投与し、造血能の回復が促進されることを確認した。現在、造血能回復のメカニズムを解析するため、回復後の骨髄細胞の細胞ポピュレーションをFACSにて解析中である。
すべて 2011
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Cellular and Molecular Bioengineering
巻: (In press)
Journal of Biomedical Materials Research Part B ; Applied Biomaterials
巻: 97(2) ページ: 373-380
巻: 96(2) ページ: 234-241