| 研究概要 |
1.不快感情に関わる脳領域の同定
本年度は脳機能画像法による賦活実験によって明らかになった、中性的場面と情動的場面(特に不快感情が惹起されるような場面)の想起中の欺瞞行動に関わる背外側前頭前野の働きに関する研究成果を報告した(Ito et al, 2011)。この研究では、中性的場面の想起中の欺瞞行動にも情動的場面(特に不快感情が惹起されるような場面)の想起中の欺瞞行動にも、両側の背外側前頭前野が共通して関わっているという新しい知見を得ることができた。これまでの先行研究から、背外側前頭前野の欺瞞行動への役割はある程度示唆されていたが、想起する場面の情動価に関わらず一貫して背外側前頭前野が関与していることを明らかにした点で、本研究は不快感情の認知的制御の神経基盤に関する重要な知見を示したと考えられる。
2.快感情や他者に対する選好判断に関わる脳領域の同定
本年度は実験実施のための準備が中心であった。今年度新たに出版された先行研究が予定していた実験内容と酷似していたことにより、研究計画の修正が避けられない状況となった。そのため、まず検討すべき仮説を含め抜本的な研究計画の修正を行った。その結果、使用する実験刺激や実験パラダイムの変更・修正が必要となったため、新たに認知課題のプログラミングを行った。実験プログラムの変更・修正は最終段階にあり、今後は新たに実験刺激を修正・取得し、本学倫理委員会の承認を経た後に、脳機能画像法を用いた賦活実験を行う予定である。
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