本研究の目的は、インド・バングラデシュ・ネパールのそれぞれ50村落において行った質問紙調査(項目:現在および過去における人口・土地利用・生産と消費・生活の質の評価)の結果を、ランドサット衛星データから得られる土地利用・環境の変化に関するデータと関連づけながら分析することである。 平成11年度には、インドの対象地域をカバーするランドサット衛星データ(1972年、1986年、1999年)を購入し、グランドコントロールポイントを用いた幾何補正、さらに対象村落の位置情報との重ね合わせを行った。また、平成10年度にランドサット衛星データを購入済みのネパールおよび平成12年度予算でランドサット衛星データ購入予定のバングラデシュについては、村落データを地理情報システム(ArcView)を用いてデータベース化した。ネパールのランドサット衛星データについては、国立民族学博物館所蔵のネパール地図を用い地域専門家の助力を得た上で幾何補正、さらには土地被覆の分類を行った。 現在、リモートセンシング衛星データの分析によって得られたデータと、村落を対象とした質問紙調査によって得られたデータを、地理情報システム上で関連づけたデータベースを構築している途上であり、本格的な分析は未だ完了していない。しかしながら、予備的な検討に於いては、人々の認識する自然環境とリモートセンシング衛星データの分析によって得られる定量的な自然環境は必ずしも一致しないこと、そしてそこには人々の生活の質や社会のシステムなどが介在していることなどが明らかになりつつある。
|