現在市街地火災の延焼性状を予測するモデルは一応存在するが、これらは浜田式と言われる統計的モデルをベースにしているため、市街地の建物状況の変化や、種々の延焼防止対策の効果を適切に評価することができない。 これに対し本研究では市街地火災の延焼を市街地を構成する個々の建物の燃焼の総合として把え、これを(1)家屋の火災性状予測モデル、(2)区画壁を通す熱移動のモデル、(3)燃焼家屋からの熱放出による気流性状モデル、(4)熱気流から家屋への対流熱伝達モデル、(4)燃焼家屋から他の家屋への輻射熱伝達モデルとして、物理的に定式化した。また建物形状や家屋配列の単純な場合についてコンピュータでプログラム化し、家屋の距離や外気風速の大きさを変えて、風下への火災の延焼、すなわち風下建物の燃焼性状の予測状況を調べた。今後は、建物が複雑に配置される実際的市街地での延焼予測が可能な様なプログラム開発をする予定である。
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