研究概要 |
1.チタン薄膜表面に形成されるアノード酸化皮膜の応用変化を、レーザービームデフレクション法を用いて測定し、応用に影響をおよぼす因子をメカノエレクトロケミカルな観点より検討した。マグネトロン・スパッタリング法によりガラス基板(厚さ:0.21mm,幅:5mm,長さ:40mm)の片面上に250nmのチタン薄膜を作成し、それをアノード酸化の電極試料とした。 2.4種類の電解質水溶液中、チタン薄膜を電位ステップ法により自然浸漬電位から順次、高い電位に1時間保持してアノード酸化した時の応用変化と保持電位(皮膜形成電位)との関係を調べた。いずれの溶液においてもアノード酸化皮膜には圧縮応力がかかり、その圧縮応力は4V以上で急激に増加するが、8V以上でその増加は鈍化する傾向を示した。また、他の溶液に比べて硫酸中で形成されたアノード酸化皮膜に最も大きい圧縮応力のかかることが判明した。 3.pH8.4ホウ酸塩水溶液中、6.7Vで形成されたアノード酸化皮膜の全圧縮応力の内、電気歪みによる圧縮応力の寄与を実験的および理論的に評価した。6.7Vでアノード酸化後、皮膜の電場が零になる皮膜のフラットバンド電位(約0V)まで電位をカソードスイープしたときの応力変化から電気歪みによる圧縮応力を求めた。電気歪みによる圧縮応力の実験結果と理論計算結果はほぼ一致し、皮膜の全圧縮応力の内、電気歪みによる寄与は2%に過ぎないことが明らかにされた。
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