研究概要 |
本研究課題は、二酸化炭素の電気化学還元をエネルギー貯蔵プロセスに応用することを目的として、そのための優れた電極触媒を設計する方針を求めるものである。Cu電極は、二酸化炭素の還元において、エチレンやエタノールなどを効率よく生成するという特性を有している。本年はこの反応において、中間種として生成するCOとCuの相互作用を微分容量測定法を用いて明らかにし、Cu電極の特殊性の解明を試みた。 Cu単結晶(直径10mm)をBridgeman法によって生成し、結晶面を決定した後、表面処理をしたものを電極とした。書く単結晶電極の微分容量値を測定し、その値から零電荷電位(PZC)を求めた。結晶の表面を形成する際に切断される結合数broken bond density(d_<bb>)とPZCが良い相関にあることから、本研究で用いられた結晶面の原子配列は、正しく方位されていることが確認された。 Cu単結晶電極に特異吸着イオンが存在するときに、COが存在している条件でボルタモグラムの測定を行なうと、ある電位で電荷排除吸着が起こり、可逆的なレドックス波が観測される。この過程について、電極界面の微分容量測定を行なうと、レドックス波が生じると同時に微分容量極大が現れる。この現象を利用して、Cu電極へのCOの吸着の自由エネルギー変化を測定することが出来た。(100),(711),(511)に関して得られた結果は、それぞれ-5.9,-5.0,-4.8kJ/molであった。これは今後二酸化炭素の還元に対する銅電極の特性を解明するのに、重要な手がかりを与えるものと思われる。
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