チタンを骨格に含んだゼオライトを触媒とし、過酸化水素を酸化剤とした液相酸化反応により、不飽和アルコールから一段で選択的にテトラヒドロフラン環やテトラヒドロピラン環を有する生成物を合成する反応を開発した。ゼオライトの構造ならびに細孔径の影響、温度、共存溶媒の効果についての検討を行った。Ti-Betaを用いてより多環式不飽和アルコールなど、嵩高い基質の酸化と続いての環化を行ったところ、TS-1では転化率も環化選択性も低い基質を効率よく環化させることができた。シリカ源としてSi(OEt)_4(TEOS)ならびにRSi(OEt)_3(RTES)、Ti源としてTi(OBu)_4を用いヘキサデシルトリメチルアンモニウムカチオン存在下、140℃での水熱合成により、Ti-MCM-41の有機基を直接導入することに成功した。とくにRTESとして、C1(CH_2)_3Si(OEt)_3を用いると構造規則性を保ちつつTiの導入量を高くできた。Rの小さいときd間隔は増加し細孔径は増加したが、Rをペンチル、フェニルとすると構造規則性の低下と細孔径の減少傾向が見られた。有機基導入による疎水性の増加は水の単層吸着量の減少から窺うことができた。各種の不飽和アルコールのエポキシ化触媒として、有機基導入前より活性が大きく向上した。酸化剤としてはTS-1と異なりtert-ブチルヒドロペルオキシドが優れ、エンド付加生成物も得られた。有機基の導入により環化反応が抑制されエポキシドでとまる傾向がみられ、シラノール基の減少により酸性が低下するためと推測された。
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