研究概要 |
種々のトリフルオロメチル置換オレフィンやフルオロメチルスルフィドの合成素子としての有用性を確立するために、電解による変換反応を検討した。硫黄ー炭素混合電極を陰極に用いて電解する方法は、効率よくS_8^<2->,S_6^<2->,S_3^-等の化学種を発生できることが報告されている。この方法を用いてα-スルホニルシンナモニトリル誘導体を電解するとイソチアゾール誘導体が生成することを見出した。 この手法をトリフルオロメチル基を有するアクリロニトリル誘導体1に対して用いると、ビスイソチアゾールではなくイソチアゾール環とジチオール環を有する2が生成した。一方、スルホニル基の代わりに塩素を有する化合物3を同様に処理したところ、2の様なタイプの化合物は生成せずチイラノチオフェン4が生成した。また、アクリル酸誘導体5で行うと加硫化還元された生成物6を与え、本反応が基質オレフィンの還元電位と立体障害により主生成物が大きく変わることを見いだした。パラアルキル置換フェノール類を塩基性条件下二塩化硫黄と処理すると興味深い錯形成能を有するチアカリックス[4]および[6]アレーンが生成することが報告されている。4位にペルフルオロアルキル鎖を持つフェノール7は、ベンゾキノンから容易に合成できるため、ペルフルオロアルキル鎖を有するチアカリックスアレーン類の合成を目指して検討を行った。 ペルフルオロアルキルチアカリックスアレーン合成の予備実験として7a(R=t-Bu)及び7b(R=CH_2CH_2C_6F_<13>)を基質とし、硫黄ー炭素混合電極を陽極に用いて加硫化反応を行った。しかしながら支持電解質等の条件を変えて反応を行っても、原料が回収されるか、複雑な反応混合物が得られたに過ぎず、生成物の単離構造決定には到っていない。
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