本研究では、ケイ素系化合物の構造と反応性に関して理論化学的な見地から以下の研究を行った。 ベンゾジシラシクロブテンの開環によって生成するベンゾジシラブタジエンとアセチレン分子の間にディールス・アルダー型の反応が極めて低い活性化エネルギーで起こり、Si-C結合が生成してアセチレンの3重結合が一部切れることを理論的に予言した。この反応の律速は、前半の開環反応にある。また中間体であるベンゾジシラブタジエンは実験的に観測されていないが、理論計算からこれを予言した。また、ジシラベンゼンに関して、そのデュワー型構造からベンゼン型に開環する反応について、対称許容の反応が対称禁制の反応よりもエネルギー的に有利に起こることを密度汎関数法と多配置解析より明らかにした。ベンゼン型ジシラベンゼンとアセチレンのディールス・アルダー型反応が極めて低い活性化エネルギーで起こることも予言した。
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