シリコンの1次元鎖を持つ種々の有機ポリシランの構造解析を行った。ポリジメチルシランにおいては、同一分子内の隣接する2つのメチル基の間に隣の分子のメチル基が配置され、空間を密に埋め尽くすようにパッキングされていることが分かった。主鎖のコンフォメーションはオール・トランスである。ポリジエチルシラン及びポリジプロピルシランの主鎖のコンフォメーションもオール・トランスであるが、2つのエチル基またはプロピル基は、同一分子内での立体障害を避けるため、幾何学的に非対称に配置されることが分かった。一方、ポリジブチルシラン及びポリジペンチルシランの主鎖のコンフォメーションは常圧で7/3ヘリックスであるが、1個のシリコン原子に結合している2つの側鎖はポリジエチルシラン及びポリジプロピルシランと同様、、幾何学的に非対称に配置される。炭素原子6個から成る側鎖を持つポリジヘキシルシランの主鎖のコンフォメーションはオール・トランスであり、他のポリシランと同様、2つの側鎖は幾何学的に非対称に配置される。ゴーシュトランス交互ポリシランは、エネルギー計算を行って最適化した分子構造で、ほぼ、説明出来る。 また、ポリジメチルシランを薄膜化するため、真空蒸着法を適用したが、蒸着時の速度を変化させることで、配向性を制御出来ることが分かった。その場合、蒸着速度が速い時は主鎖は基板と平行となり、遅い時は基板に対し垂直となる。真空蒸着時の基板温度によっても配向性は変化し、基板温度が高くなると、主鎖方向は基板に対し垂直となる傾向がある。
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