本研究では、反応性電極を用いた電極還元反応においてSi-Si結合が開烈し、活性なシリルアニオン種が発生することを見出した。特に、オリゴシランおよびポリシランを形成するケイ素連鎖の数により結合開烈の傾向が異なり、電極還元法を用いることで、この差異を積極的に利用して、位置選択的に結合切断を行うことができることが明らかになった。また、このようにして発生されたシリルアニオン種を求核剤とすることで、新規ケイ素-ケイ素結合、ケイ素-ゲルマニウム結合、および、ケイ素ー炭素結合形成反応が起こることを見出した。この方法の開発により、従来に例を見ない全く新しいタイプのポリシランを合成出来るだけでなく、シラン-ゲルマン共重合体を合成することも可能になった。また、電極還元反応により生成するシリルアニオンの再結合反応をも見出したが、この反応を利用すると、ポリシランや、シラン-ゲルマン共重合体の分子量を顕著に向上出来ることも明らかになった。さらに、ヒドロシラン類の電極還元重合反応により、構造制御を行ったジクロロシラン類を合成することにも成功し、このジクロロシラン類の電極還元により、構造の制御されたポリシランを高収率で合成することにも成功した。
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