研究概要 |
最近、我々はアシルポリシラン類[(Me_3Si)_3SiCOR;R=Me,i-Pr,t-Bu,Ad,Ph,Mes]の熱反応により、シリル基の1,3-転位が起こりシレンが容易に生成することを見い出した。また、このようにして生成するシレンの種々の試剤に対する反応性を検討してきた。アシルポリシラン類の熱反応をモノ置換アセチレン、オレフィンあるいはカルボニル化合物の存在下で行うと、シレンとこれら試剤との1:1付加物が収率良く得られることをすでに報告した。本年度は、アシルポリシランから生成したシレンの反応性についてさらに多くの知見を得る目的で、アシルポリシラン類とジ置換(シリル)アセチレンとの反応を行った。ピバロイルトリス(トリメチルシリル)シラン(1a)の熱反応を160℃、12時間の条件で、ビス(トリメチルシリル)アセチレンの存在下で行ったところ、1-[(tert-ブチル)ビス(トリメチルシリル)メチル]-1-トリメチルシロキシ-2,3-ビス(トリメチルシリル)シラシクロプロプ-2-エン(2a)が87%の収率で得られた。アダマントリルトリス(トリメチルシリル)シラン(1b)を同条件下、ビス(トリメチルシリル)アセチレンと反応させると、82%の収率で同様のシラシクロプロペン誘導体(2b)が生成した。 化合物1aおよび1bの熱反応を、ビス(ジメチルフェニルシリル)アセチレンやビス(メチルジフェニルシリル)アセチレンの存在下で行っても、同様にシラシクロプロペンが高収率で得られた。 また、生成したシラシクロプロペン2を過剰量の2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン存在下、脱気封管中200℃12時間の条件で熱反応を行うと、シリレンが2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンによって捕捉された生成物が、かなりの収率で得られた。
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