硫酸化多糖の作用機構は、HIVがヒト免疫細胞のT4リンパ球などに吸着・感染することを阻害する働きと推定されている。この作用機構を明らかにするために、高分子化学の立場から新規で構造明確な硝酸化多糖を合成し作用機構の解明、今までにない抗エイズ薬の開発を目指す。多糖・オリゴ糖の持つ生命機能を基礎的に解明・発展させて、高次認識糖鎖の構築を目指す。すなわち、相互作用機構は硫酸化多糖の硫酸基に由来する(-)電荷とHIVの表皮タンパクgp120の(+)電荷部位との静電的相互作用と考えられるので、最終年度では、リジンなどに由来する(+)電荷を持つアミノ酸とロイシンなど電荷にあまり関係のないアミノ酸からなり電荷密度の異なるオリゴペプチドを合成し、硫酸化多糖・オリゴ糖との相互作用を複数の分光学的方法によって詳細に検討することにより、多糖構造と機能との関係を解明する。
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