研究課題/領域番号 |
11123204
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古谷野 有 筑波大学, 物質工学系, 講師 (00215419)
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研究分担者 |
喜多 英治 筑波大学, 物理工学系, 教授 (80134203)
吉崎 亮造 筑波大学, 物質工学系, 教授 (70011137)
池田 博 筑波大学, 物質工学系, 講師 (50272167)
大塚 秀幸 科学技術庁金属材料技術研究所, 強磁場ステーション大型磁場ユニット, 主任研究官
田崎 明 筑波大学, 物理工学系, 名誉教授 (00029414)
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キーワード | 窒化鉄 / マルテンサイト変態 / 磁場誘起変態 / 強磁場 / α'-FeN / γ-FeN / α"-Fe_<16>N_2 / 磁化 |
研究概要 |
2.8Tの磁化を持つと言われているbct構造の準安定窒化鉄α"-Fe_<16>N_2はマイクロマシンやハードディスクドライブの磁気回路材料として有望ではあるが、四半世紀経過した現在でもバルク試料が作製されていない。我々はアンモニア窒化法でγ-FeN(窒素オーステナイト)を作製後急冷してα'相(窒素マルテンサイト)を得た後、熱処理でα"相にする方法を用いて単相バルク試料の作製に挑んでいる。この方法では全てのγ相をα'相に変態させねばならない。我々は磁場がγ相の相変態に与える影響を調べ、強磁場が変態率向上に有効であることを発見した。 9.8at.%N試料の自発磁化と回折線強度比の関係からα'相の自発磁化は室温において235emu/gであり純鉄の218emu/gより大きいことがわかった。無磁場で4.2Kに冷却すると母相の60%程度しかα'相に変態しないが、その温度で288テスラの定常磁場を加えると92%が、40テスラのパルス磁場を加えると90%が変態することがわかった。γ相窒化鉄に対するこれらの変態率は世界のチャンピオンデータである。 α'を熱処理するとα"+αに分解するが、熱処理前後で磁化に顕著な変化は見られなかった。単純に考えれば磁化の大きさは窒素の規則不規則には関係なく、鉄当たり原子体積に依存する、となるが長時間熱処理したところこのモデルでは説明できない磁化上昇が起こった。α'相の窒素濃度に濃淡が生じてα"相とα相に分離する過程で、α"相の窒素濃度が11.1at.%N付近になると磁化が急上昇する可能性もある。今後、詳細に検討を進める。
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