研究課題/領域番号 |
11124209
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市野瀬 英喜 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30159842)
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研究分担者 |
宮澤 薫一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60182010)
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キーワード | カーボン60 / カーボンナノチューブ / 複合材料 / 超高圧圧縮 / ポリマー / フィールドエミッション |
研究概要 |
本研究ではカーボン60やナノチューブ等の炭素系新物質を利用した新奇複合材料の作製において、この系がナノメートルレベルでの組織制御が可能であり、従来の炭素系材料とは異なる特性を持つ新しいタイプのC/C複合材料の作製が期待できることを示した.カーボン60/ナノチューブ系のナノ組織を利用した電極材料あるいは電子放出材料など機能性材料としての可能性がそれである.特に、ナノチューブを添加したC60結晶体を超高圧圧縮することで得られる成型体は、制御された微細な空間を有するためその空間を利用して異種元素のドーピングが期待された.X線回折、TEM観察等による構造解析の結果、C60結晶体は超高圧圧縮により重合体構造を形成し、その組織は<111>方向に面間が伸長した構造を取る事が示された.ナノチューブ及びC60重合体に形成される微細空間を利用してリチウムイオンの充・放電特性の測定を試みた.しかし、高温・高圧での重合体化により分子間の結合状態が変化するため空間は有するもののそこに達するまでのpathがないため標準試料に用いたグラファイトと比較して充電容量は小さいことが判明した.特性を改善するためにアルカリ金属等による化学修飾等により結合状態に変化を与える工夫が必要である.一方、極細多芯線化加工で作製した複合体試料ではナノチューブが一方向に配向した組織が得られたことからナノチューブの電界電子放出特性を評価した.この試料から得られた1-V特性は一回目は480V二回目以降は約430V付近から電子放出が観測された.一回目と二回目以降とのエミッション特性の違いはこれまでのところ本実験で作製した試料全てに観測された.そこでこの電気的特性とナノチューブエミッターの微細組織との関連を調べるためエミッター先端の微細構造についてTEM観察した.その結果、エミッション前後でナノチューブの先端構造が変化していることが判明した.ナノチューブの先端の微細構造変化によりエミッションサイトが形成されたことが、放出電流の安定化、高効率化に寄与しているものと考えられる.
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