炭素及び関連の物質が単一又は相乗して生物細胞に対して作用する機構を研究して、これが音波や超音波のような物理的シグナルによることを一層明らかにし、細胞代謝の制御や音響セラピーに向けて格段の理解を得た。 〔A〕実験法の改良 細胞に作用する音波、あるいは音波に対する細胞の応答を測定するための方法の改良として、1分間に2-3回転でゆっくり回転するターンテーブルを恒温培養器内に設置し、この上に菌を接種した系と炭素等のシグナル発振素材を入れた別々のポリスチレン・シャーレを重ね合わせ、ポリプロピレンのタッパーウェアで覆い、厳密に設定された適温に培養した。この結果、シグナル発振素材からのシグナルの細菌応答が、回転台を使わない時にくらべて遥かに高い正確さと、再現性を得た。 〔B〕炭素素材の大腸菌に対する作用 好炭素バチルス菌ばかりでなく、大腸菌や緑膿菌も炭素素材の遠隔効果に応答する事が明らかになった。スピーカからの音波の、大腸菌、緑膿菌の生育阻害効果の研究も進展し、海外に於いて高い評価が得られはじめている。 〔C〕軟質ゲル状物質のシグナル発振の機構 軟質ゲル状物質が、広い生物種の細胞に対して強い生育促進・阻害効果をもっていることが明らかになった。さらに、回転台を用い、条件を精密に決めた実験により、直接固形寒天培地に用いたり、液体培地に寒天ブロックとして投入したりして生育促進効果(B. carboniphilus)があったのと同じ濃度の寒天(2.5%)をポリスチレン・シャーレの外側から作用させても菌の増殖を誘導することが示された。これらの作用はアルミの薄膜で外部からの電磁波を遮断したとき失われた。軟質ゲル状物質は土壌生物相改良系や水質改良系に炭素素材を用いた場合、強力な相乗作用を引き起こすと考えられる。 〔D〕炭素せんいへの微生物固着 炭素せんいとほぼ同じ太さのナイロンとポリエチレンの糸を用いて試験した結果、弾性率が小さい為もあり、固着量は炭素せんいの約1/5であった。
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