Si中に希薄にCe金属を固溶させたバルクサンプルを真空アーク溶解法によって、薄膜サンプルを真空蒸着法によって作成した.バルクサンプルにおいてはCeSiという反強磁性物質の微量の析出が生じていたものの、約6k近傍にキュリー点を持つ強磁性相転移が観察された.キャリア濃度は10^<18>オーダーと比較的多くのCe^<3+>が固溶しているためキャリア相関が予想されるものの、Ce濃度を0.01at%から0.15at%の範囲で変化させても残留磁化は増加するもののAC帯磁率でみられるような顕著な相転移温度は大きくは変化しない。しかしながら試料によっては50K近傍までM-H曲線でのヒステリシスが確認されている。試料によっては熱処理を加えないと強磁性相転移しないものや高温まで超常時性的なM-H曲線が確認されるものもある。これらの結果は試料が多結晶であり、Ce濃度が粒界近傍から粒内に向かって10at%程度の範囲で大きく変化していることに帰結できる。特に三重点近傍では析出物が存在するために50%近いCe濃度の部分が確認された。この様にバルク試料は強磁性、常磁性、反強磁性が混在しておりさらにそれらの相互作用でスピングラス的なものまでみられる。この様な試料では詳細な相転移機構の解明が困難なために薄膜試料を作成した。真空蒸着法によって作成された試料では、エピタキシャル膜は得られず、強磁性相転移も観察されなかったものの超常磁性やスピングラスなどバルクと類似の結果が得られ、大きな正の磁気抵抗も確認された。さらにキャリアをドーピングすることによって強磁性相転移することもわかった。MBEを用いたエピタキシャル膜の作成にも成功し、Ce濃度依存症やキャリア濃度依存性の検討に着手した。
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