昨年度迄の研究により、ソフトウェアイベントビルダーの基本的な部分、すなわちFastEthernetによるデータ転送、および受けとったデータのイベントビルディングのソフトウェア開発は一応完了しており、それぞれのプロトタイプが存在していたので、本年度はこれを用いて実際にBELLE実験に使用するための最終的なシステムの設計を行なった。本研究の最初のデザインでは12個以上からなる検出器サブシステムからのデータを1台の大型のSMPサーバーで受け、その上のソフトウェアでイベントビルディングを行う方針であった。しかしこのためのSMPサーバーが大変高価であるという問題があった。最近では小型のPCサーバーが大幅なコストダウンを達成しており、これを使用することで大型のSMPサーバーの1/10程度のコストで同等の性能を出すことができる。しかしこの場合は1台のサーバーでは能力に限界があり、所定の性能をだすことができない。そこで、このようなPCサーバーを複数ネットワークで接続した環境で、ソフトウェアイベントビルディングを行なうことができるようにソフトウェアの改良を行なった。また昨年まではネットワークにFastEthernetを使用していたが、さらに高速なGigabitEthernetの使用を試み、2入力1出力の場合で40MB/sec迄の転送速度がだせることを確認した。以上のような変更を基に、ソフトウェアイベントビルダーを用いたBELLEでデータ収集システムの設計を行ない、Computing in High Energy Physics国際会議で発表を行なった。
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