製紙メーカーの実際のデータを収集、解析し、古紙パルプ配合率とエミッションの関係を調べた。対象とした紙製品は上質紙(OAコピー用紙)である。 (1)上質紙のインベントリー:データ収集をした工場は三菱製紙八戸工場である。上質紙の植林-原料製造-紙製造-流通-使用-回収-廃棄にわたるインベントリーを行い、インプットーアウトプットひょうを作製した。 (2)DIP(再生古紙パルプ)の配合率とエミッションの関係:インベントリー分析をもとにして、DIP配合率による変化を調べた。例として二酸化炭素について述べる。DIP製造で古紙に対するDIP収率が75%の場合、DIP含有量に対する二酸化炭素排出量は、DIP配合率の増加とともにバイオマス由来の二酸化炭素排出量は減少し、化石由来のそれは増加した。両者を合計した二酸化炭素排出量は、DIP配合により若干の減少がみられた。DIP収率が50%までパルプを精製した場合、二酸化炭素排出量はDIP配合率を変化させてもほとんど変わらなかった。二酸化炭素排出からみると、良質な再生紙はほとんど環境負荷を低減させないと推察される。またDIP配合率を高くすると、枯渇性エネルギー資源である化石燃料を多く消費することにつながるという点に注意する必要がある。 (3)固形廃棄物の再資源化:製紙スラッジを約1500度でようゆうすると、淡褐色のガラスとなった。このガラス溶融物は安定であり、有害元素が含まれていないため、良質の路盤材や骨材となり、再資源化が期待される。またガラス原料であるカレットとしても有用であると推察される。
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