研究概要 |
鹿児島県における家畜糞尿の資源化および還元システムを構築し、家畜生産のゼロエミッション・システムの創生を構築するためには化学肥料の性能を上回る優良なコンポストを安価で、簡便、迅速に製造する必要がある。 そこで、今年度は家畜糞尿の資源化技術として取り入れるために、従来のコンポストの概念とは全く異なる安価、簡便、迅速を可能とする超高温・好気発酵による下水汚泥のコンポスト化技術について述べる。加えて、鹿児島県における家畜糞尿の資源化と緑農地還元システムを構築する活動の一環として、地域活動を実施した。 1)超高温・好気発酵法による理想的なコンポスト製造の試み 本年度は家畜糞尿に先立ち、解析が容易な下水汚泥を用いて超高温・好熱発酵法の基礎研究を行った。その結果、コンポストの製造期間の品温は、製造期間中80℃以上の超高温を維持した。そのため、45〜50日の極めて短期間で完熟コンポストに仕上がっていた。二次発酵でグラムあたり77.4億にも達した。製品においても22億もの膨大な細菌が生息し、極めて優れたコンポストに仕上がっていた。 2)新技術によって製造したコンポストの腐熟度の検定 平成10年度に新しく開発した発芽試験法と幼植物試験法の長所を取り入れた発芽インデックス法を用いて、新技術で製造したコンポストの腐熟度を検定した。完熟なコンポストに仕上がっていた。なお、発芽インデックスは、GI=G/Gc×L/Lc×100の式(GI:発芽インデックス、G:コンポスト抽出液の発芽数、Gc:蒸留水の発芽数、L:コンポストの抽出液の根長、Lc:蒸留水の根長)で、求めたものである。 3)緑農地還元システムの構築 鹿児島県の緑農地還元システムを構築するために、県内の各試験機関(農業試験場、畜産試験場、果樹試験場、茶業試験場)、大学(鹿児島大、九大)、および民間企業、いわゆる"官・学・民"からなる「有機物資源化リサイクル研究会」を、平成9年に組織した。今年度は、8月25日および11月26日の2回のシンポジウムを開催した。同時に機関紙"有機物資源化とリサイクル"を発行して,本県の緑農地の還元システムを構築中である。
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