廃棄物や劣質のエネルギー転換プロセスにおけるゼロエミッション化を想定して、都市ゴミの各処理方法(焼却処理、焼却灰・飛灰の無害化処理、ガス化溶融処理、重金属回収)の物質フロー・エネルギーフローを定量的に把握し、LCA (Life Cycle Assessment) の手法を用いて評価した。評価には、各処理施設の建設に関わる負荷は含めず、運転時の直接投入エネルギーや試薬等から負荷のみを対象とした。なお、インベントリデータは既往の文献や聞き取り調査をもとに作成した。算出されたCO_2排出量は、従来の焼却+キレート処理に比べて焼却+溶融処理の方が多くなり、さらに溶融に化石燃料を使用する方式では他の方式よりも多くなった。ごみ発電の効果を評価した結果、処理によるCO_2排出量より、発電によるCO_2排出削減量の方が多くなることがわかった。ごみは劣質ではあるが、有効なエネルギー源としての位置付けられる。さらにエネルギー資源および金属資源の枯渇係数を、資源の確認可採埋蔵量の逆数と定義し、同様にLCA手法により評価した。エネルギー資源枯渇係数は発電による削減効果が大きく、またエネルギー資源枯渇指数よりも金属資源枯渇指数の方が1桁大きい値となることが明らかとなった。これらのLCA評価と並行して、溶融飛灰からの重金属再資源化処理プロセスについて、エネルギーフローや物質フローを把握するのに必要な情報を聞き取り調査した。本年度はプロセス評価に必要な情報が完全にはそろわず、特に塩素等除去や目的重金属の濃縮を目的とした前処理について十分な定量的データを得ることができなかった。今後、回収物の品質や資源化工程の貯蓄、輸送などを考慮した解析が必要となる。
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