これまで、現行製鉄業における各種プロセスの最新操業データの収集を開始し、プロセスの物質収支の確認に着手し、ほぼその流れをつかむことに成功した。さらに、修正エンタルピー法に基づき製鉄所内全体のエンタルピーフローを明らかにした。今年度は整理された操業データに基づき、現行および省エネ前のデータに基づきエクセルギーフローを計算する事が可能となり、一部着手することができた。これらの計算は関連するすべての物質の温度依存を考慮したり熱力学データを組み込んだ計算機プログラムを開発して、大規模計算を行うことにより可能とした。 さらに今年度は得られたデータに基づき、現行の製鉄業がかかえる問題点、すなわちエクセルギーが大きく消費されている場所と量に注目して、新システムを考察し、予備的実験を行った。すなわち、高炉スラグ(酸化物多元系融体、1600℃を有するものの現在すべて廃棄されている。)や転炉排ガス(CO-CO2系燃焼排ガス、1600℃の超高温で排出されるがその回収方法は不十分。)などエクセルギーが大きく消費されている部分に着目してそれらを減少させるプロセスを基礎的に検討した。
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