超伝導微細孔格子とは、超伝導薄膜に規則正しくマイクロ孔を格子状に開けた規則正しい多重連結系である。我々は、磁束量子系の受け皿として、超伝導微細孔格子をを考えた。ボルテックス挙動の理解と配置パターン制御ができれば記憶素子として可能性も拓けてくるであろう。本年度は従来型超伝導体Pbを用いたサンプル開発に努力した。超伝導微細孔格子に対する巨視的ボルテックス応答はSQUID磁化で調べた。幾何学構造を微細加工ではなく微細構造を有する基盤に超伝導物質を蒸着する方法で実現した。(1)メタルメッシュマイクロシーブ、(2)キャピラリープレートを入手し比較検討した。(1)は超伝導微細孔四角格子として、(2)超伝導微細孔三角格子として利用することにした。微細孔三角格子基盤の微細孔は直径6μm、ピッチは7.5μmである。全ての微細孔に磁束量子が入るマッチング磁場は0.425Gである。Pb(5N)を円形に蒸着した。微細孔へのPbの入り込みを防ぐために基盤は60度傾けた。サンプルの超伝導転移温度は7.25Kである。マッチング磁場で0.425Gであることから、微小磁場中での測定が必要である。我々は、転移点近傍で磁化曲線は非対称である。7.24Kでは正磁場側では10^<-4>emu程度の超伝導反磁性が見られるが、負磁場側では磁化は極端に小さいが拡大するとマッチング磁場の整数倍でピークを持つことが分かった。Little-Parks効果に関連した現象である。6Kでの測定はほぼマイスナー反磁性に対応する直線変化が磁場の±側で見られることから、非対称性は装置に依るものではない。
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