本研究のターゲットとしているラット由来肝細胞では、昨年度までに液/液界面培養によりアルブミン分泌活性などが促進されることがわかっている。この要因として液/液界面培養では肝細胞が細胞隗を形成しやすいことが考えられた。そこで本年度は細胞の様子をビデオカメラによる定点連続観察を行った。この結果液/液界面上では細胞が次第に集まり、24時間程度で細胞集合体を形成していく様子を観察した。また初期細胞濃度を変えて液/液界面培養を行った場合、初期細胞濃度が高いほどアルブミン分泌活性が大きくなり、スフェロイド培養で報告されている最も高いアルブミン分泌活性と同等の結果が得られた。しかしこの活性の増大は一時的で培養後期には徐々に減少してしまった。これらのことから液/液界面培養は肝機能の促進に有効だと考えられるが、6日目以降高い活性が一時的に得られる理由は特定できていない。今後はこの点に関して分子レベルを含めた検討が必要と考えられる。また分子認識性オリゴヌクレオチドとしては全長58-merと74-merのループ構造を形成するoligo 1およびoligo N74を合成した。このうちループとなる部分は12-merからなるランダム配列で構成されている。このoligo 1の3'末端をDIGで修飾し、Alkaline phosphatase結合抗DIG抗体を利用した検出が可能な状態のオリゴヌクレオチドライブラリーを作製した。この系の検出限界を調べるためにPVDF膜へのドットプロットを行ったところ、およそ0.01pmolまでの検出が可能であることが確認できた。これを用いてBSAの検出をウェスタン分析法により試み、5mgのBSAを転写したものにはシグナルが認められ、オリゴヌクレオチドとの結合が確認された。また他の様々なタンパク質で同様の実験を行い、タンパク質により結合しやすいものとしにくいものがあることがわかった。
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