前年度、大量合成法を確立したイミノン酢酸部位をもつ非天然アミノ酸(Ida^4)をペプチド合成機を用いて、リボヌクレアーゼSのSペプチド配列の中に組み込むことに成功した。自動合成でいくつもの配列異性体を合成し、半合成によってリボヌクレアーゼS'変異体を作成し、それぞれの金属イオンに対する応答挙動を観察すると、興味深い知見がいくつか得られた。 (i)Ida^4を一つ導入したものより、2つ導入したものの方が応答性が高い。 (ii)アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンには、低濃度ではほとんど応答が見られないが、遷移金属イオン特にCu^<2+>、Fe^<3+>について顕著な応答が見られた。 (iii)Ida^4を2つ導入した変異体では、導入位置によって全く異なる応答性が見られる場合があった。6位、9位をIda^4に置換したものでは、両方のIda^4が共同的に働いて、一等量aCu^<2+>が存在する場合と、二等量以上aCu^<2+>が存在する場合で酸素活性が向上から低下へと二段階の制御モードが実現されることが明らかとなった。
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