リボザイムは、核酸の切断や連結反応などの触媒機能を有するRNA分子である。さらにリボサイムと同様の機能を有する機能性DNA(デオキシリボザイム)も、インビトロ選択法などを用いて人工的に作られている。本研究では、新たな機能を有するデオキシリボサイムの開発を試みた。その結果、RNA切断機能を有するカルシウムイオン特異的な小型デオキシリボサイムの開発に成功した。我々はPb^<2+>イオンによって12塩基からなる基質RNAを部位特異的に切断する小型リボサイムの開発を行っていたが、今回新たにRNAを部位特異的に切断するデオキシリボサイム(bGCCTGGCA-G_1G_2C_3T_4A_5G_6C_7T_8A_9C_<10>A_<11>A_<12>C_<13>G_<14>A_<15>GTCCCT;下線はループ部位を示す)を基本型とし、ダウンサイジング法によるデオキシリボサイムの小型化と各種金属イオンによる活性効率の検討を行った。その結果、基本型デオキシリボザイムのループから4塩基を取り除いた11塩基(dG_1G_2C_3T_4A_9C_<10>A_<11>A_<12>C_<13>G_<14>A_<15>)からなる小型デオキシリボザイムを創製できた。また、この小型デオキシリボザイムは、Ca^<2+>存在下でのみ活性を示すカルシウムイオン特異的な新型核酸酵素であることもわかった。さらに、二次反応速度定数(kcat/Km)を算出した結果、基本型デオキシリボザイムの金属イオン間のkcat/Kmの差は約5倍であるのに対して、この変異型デオキシリボザイムでは約20倍に向上していることが明らかとなった。つまりループ内の塩基配列及び金属イオンの種類の両方により、RNA切断反応性を制御できる可能性がある。
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